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教育

2021年00月00日

子供の教育資金積立はどうする?将来のために必要な金額やおすすめな貯め方3つ

子供の教育資金を貯めるには、コツコツ積立していく方法がおすすめです。積立をしていくと毎月捻出する貯金額は少なくて済み、家計への負担軽減につながります。そこで今回は、子供の教育資金を積み立てていく貯金方法や、将来必要となる金額の目安について紹介します。

子供の成長にはいくら必要?段階別に平均費用を紹介

子供の教育費や養育費にかかる平均費用はいくらなのか気になりませんか?費用がある程度わかっていると、将来子供が大きくなった際も焦らずにすみますよね。そこで当記事では、子供の成長にかかる費用や貯金方法を紹介していきます。

文部科学省による「平成30年度子供の学習費調査」を参照し、年代別に平均費用をまとめていきますのでぜひ参考にしてみてください。[注1]

幼稚園で必要な平均費用

幼稚園に通園した際にかかる1年間の平均費用は次のとおりです。3年間通ったものとして、その総額をカッコ内に提示しています。

幼稚園で必要な平均費用

  • 公立幼稚園 1年間・223,647円(3年間・670,941円)
  • 私立幼稚園 1年間・527,916円(3年間・1,583,748円)

同じ幼稚園でも、公立と私立では2倍以上の費用の差があります。近年、少子化の影響から全国的に公立幼稚園は減少傾向にあるため、小学校以降は公立へ進む場合でも幼稚園だけは私立に通園するケースも少なくありません。

そのため、まずは住んでいる自治体の公立幼稚園についてあらかじめ調べておくとよいでしょう。

小学校で必要な平均費用

小学校で必要になる平均費用は次の通りです。こちらも、公立と私立にわけて紹介します。

小学校で必要な平均費用

  • 公立小学校 1年間・321,281円(6年間・1,927,686円)
  • 私立小学校 1年間・1,598,691円(6年間・9,592,146円)

公立小学校は、義務教育の対象となる学校なので授業料が発生しません。一方、私立小学校は授業料が必要なので、公立と私立の小学校にかかる費用の大きな差は授業料となります。

文部科学省の同調査によると、公立と私立問わず補助学習費として塾や習い事への出費が大きいこともわかりました。年間の補助学習費は公立小学校では8.2万円、私立小学校で34.8万円が平均費用となります。

中学校で必要な平均費用

中学校で必要になる費用の平均は次の通りです。

中学校で必要な平均費用

  • 公立中学校 1年間・488,397円(3年間・1,465,191円)
  • 私立中学校 1年間・1,406,433円(3年間・4,219,299円)

中学校でかかる補助学習費(塾など)

  • 公立中学校 1年間・24.4万円(3年間・73.2万円)
  • 私立中学校 1年間・22万円(3年間・66万円)

小学校と同様に、公立と私立で金額の差が大きい理由は授業料の有無です。公立中学校では授業料が不要であるのに対し、私立中学校では授業料が全額自己負担になります。

また、中学校になると塾や通信学習などを利用する子供が小学校よりも増加します。塾などの月謝は、学年が進むと高額になっていく場合がほとんどです。そのため、補助学習費の出費が小学校よりも高額になっています。

高校で必要な平均費用

高校で必要となる平均費用については、入学費用・在学費用にわけて紹介します。なお、高校と大学の平均費用については、日本政策金融公庫「令和3年・教育費負担の実態調査」を参照します。[注2]

高校で必要な平均費用(国公立・私立の平均)

  • 入学費用 35万円
  • 在学費用 1年間・75.6万円(3年間・226.8万円)
  • 総額(入学費用+3年間の在学費用) 261.8万円

同調査における入学費用とは、受験費用や学校納付金、入学しなかった学校への納付金のことです。また、在学費用とは授業料や通学費などの学校教育費と塾の月謝などの家庭教育費を指します。

大学で必要な平均費用

大学で必要な平均費用については、国公立大学と私立大学(文系・理系)に分けて紹介します。

国公立大学で必要な平均費用

  • 入学費用 67.2万円
  • 在学費用 1年間・103.5万円(4年間・414万円)
  • 総額 481.2万円

私立大学(文系)で必要な平均費用

  • 入学費用 81.8万円
  • 在学費用 1年間・152万円(4年間・608万円)
  • 総額 689.8万円

私立大学(理系)で必要な平均費用

  • 入学費用 88.8万円
  • 在学費用 1年間・183.2万円(4年間・732.8万円)
  • 総額 821.6万円
自宅外通学の場合はさらに費用がかかる

家族が住む地域から離れた大学へ進学する場合、大学の教育費とは別に1人暮らしの費用もかかります。住居費や食費など生活費が毎月発生するので、自宅外通学の場合は費用がさらに必要となります。

日本政策金融公庫の同調査によると、自宅外通学の場合に仕送りしている平均額は年間95.8万円です。これを月額にすると約8万円の仕送り額となり、世帯によっては負担になることもあるでしょう。

そのため、大学費用に関しては早めに資金対策をすると安心できます。教育費だけの備えではなく、進路次第では1人暮らしの費用も準備しておくことがおすすめです。

大学入学までに貯金額400万円を目安にしよう

子供の成長に応じた平均費用をもとに、ここからは具体的な教育資金対策について考えてみましょう。最初の目標として、大学入学までに400万円の貯蓄を目指すことがおすすめです。

400万円あれば大学入学費用と当面の在学費用に充てられる

大学入学までに400万円の貯蓄をおすすめする根拠は、大学への入学費用と当面の在学費用に充てられるためです。

例えば、国公立大学の入学費用は67.2万円、在学費用は年間103.5万円です。合計すると、初年度に170.7万円必要となります。また、2年目の在学費用(103.5万円)を足すと、274.2万円です。

私立大学の場合も同様で、初年度と2年生までの在学費用の合計は文系で385.8万円、理系で455.2万円です。

これらの計算から、国公立大学と私立大学(文系・理系)の2年生までに必要な平均額は、371.7万円となります。そのため、おおむね400万円を目標に貯蓄することで、子供が将来どの大学に進学しても入学費用と当面の在学費用に充当できます。

このことから、最初の目標として400万円を貯金することがおすすめです。コツコツと定期的に貯金していく方法や、手当・奨学金を利用する方法など資金集めは人それぞれでしょう。

子供の教育資金対策①・子供名義の預金口座を開設し明確に資金を分けよう

子供の教育資金を確実に積み立てていくためには、子供のために生活口座とは別の銀行口座で管理することがおすすめです。生活口座の中に教育資金を残しておくと生活費と混在し、お金が貯まらない原因になります。

そのため、子供が生まれたらまずは子供名義の銀行口座を開設し、完全に別会計で積み立てていきましょう。

子供が生まれたら子供名義の預金口座を作ろう

子供が生まれたら、親が代理人となって子供名義の預金口座を開設しましょう。出産祝いやお年玉、成長の節目に贈られたお祝いのお金などを預けておくと安心です。また、親の口座と分けて管理すると、子供の教育資金だけが着実に貯まっていく様子が明確になるメリットもあります。

毎月の給与振り込み日に生活費などを引き出す際は、子供の教育資金積立も忘れずに行いましょう。そのまま給与振込口座(生活口座)に入れたままにすると、生活費などでいつの間にか消費される恐れがあります。

確実に教育資金を積み立てするため、毎月決まった日付に預金する習慣をつけましょう。

子供の教育資金対策②・公的支援が受けられる間に計画的に貯めよう

子供のための教育資金対策として、お金が貯まりやすい時期になるべく多く貯蓄することもおすすめです。たとえば、子供のための公的支援制度が適用される時期は、家計から捻出する子供関連費の負担が軽減されます。

ここからは、教育資金対策や公的支援について紹介するので、長期的な教育資金積立の計画を立てるための材料にしましょう。

子供を対象とした主な公的支援制度

子供を対象とした公的支援制度はさまざまな種類があります。なかでも、主なものとして「児童手当」「幼児教育・保育の無償化」「高等学校等就学支援金制度」の3種類を紹介します。

いずれも借入ではないため返済の義務はなく、この間の教育費負担は軽減されるメリットがあります。上手く活用して少しでも貯蓄を進めましょう。

児童手当

児童手当は、0歳から中学校卒業までの子供がいる世帯が対象です。支給額は次のようになっています。

児童手当の支給額(1人当たり月額)

  • 3歳未満 一律15,000円
  • 3歳以上小学校修了前 一律10,000円(第3子以降は一律15,000円)
  • 中学校 一律10,000円

児童手当は、0歳から中学校卒業までの約15年間で総額約200万円になります。そのため、子供が成長していく際の費用にあてたり、手を付けずに全額貯蓄したりするとよいでしょう。

この児童手当は家計から捻出する必要がなく、純粋に子供のために使用できるお金です。児童手当は親権者の口座に振り込まれますが、生活費と児童手当が混在しないよう支給日には必ずお金を別の口座へ動かすようにしましょう。

前述したように、子供名義の預金口座で管理するとお金が混在しないメリットがあるので安心です。

なお、児童手当には所得制限が設けられているため、高所得世帯では児童手当がもらえない(または減額)されることがある点は注意が必要です。

幼児教育・保育の無償化

幼児教育・保育の無償化は、小学校入学前までの子供にかかる施設利用費などが無料になる制度です。この期間は家計から捻出する教育資金の負担が軽減されるので、計画的に積立をしていきましょう。幼児教育・保育の無償化の対象となる年齢や施設は、以下の通りです。

幼児教育・保育の無償化

  • 3~5歳では幼稚園・保育所・認定こども園等の利用料が無料(子ども・子育て支援新制度対象外の幼稚園は最大月額2.57万円まで無償)
  • 0~2歳までは住民税非課税世帯のみ幼稚園・保育所・認定こども園等の利用料が無料

このほかにも、認可外保育施設や幼稚園の預かり保育について、無償または安価で利用できるメリットもあります。こちらの制度は地域によって異なるので、住んでいる地域の自治体窓口へ確認しましょう。

高等学校等就学支援金

高等学校就学支援金とは、進学した高校が国公立や私立に関係なく授業料に充当される支援金です。目安として、年収910万円未満の世帯が対象となります。支援される金額は以下の通りです。

学校別・高等学校等就学支援金 支給限度額(定額授業料の場合)

  • 公立高校(全日制)の場合 月額9,900円(年間118,800円)
  • 公立高校(定時制) 月額2,700円
  • 公立高校(通信制) 月額520円
  • 私立高校(年収910万円未満) 月額9,900円
  • 私立高校(年収590万円未満) 月額9,900円+月額23,100円を上限に上乗せ(全日制・定時制の場合)

国公立高校の場合、年間の授業料は118,800円と定められています。そのため、高等学校等就学支援金をもって授業料は実質無料になります。

一方、私立高校の授業料は学校によって異なります。そのため、支援金額の上限などが定められており、実際に発生する授業料に対してより負担軽減につながる仕組みとなっています。

子供の教育資金対策③・金融商品を活用して確実に貯めよう

子供の教育資金を積み立てていく方法として、金融商品を積極的に活用することがおすすめです。少しでも増やしながら貯めていくことで、合理的に資金計画を進めていきましょう。

勤務先の財形貯蓄や社内預金を確認しよう

勤務先に財形貯蓄や社内預金制度がある場合は、確実に積み立てる方法の一つとして検討してみましょう。財形貯蓄と社内預金は、いずれも給与天引きで自動的にお金が貯まる仕組みです。

給与が振り込まれる前の段階で先取り貯金できるので、確実に積立する方法としては最適です。申し込みの流れや、いくらから積立ができるのかは社内規定などを確認しましょう。

自動口座振替を活用した預金で確実に資金を貯めよう

財形貯蓄や社内預金は便利な制度ですが、勤務先によっては実施していない場合があります。そこで、同じ先取り貯金の方法として、銀行の自動口座振替を利用した預金もおすすめです。もちろん、財形貯蓄や社内預金と並行してもよいでしょう。

北陸銀行でも積立定期預金を取り扱っています。毎月決まった日に自動的に口座から引き落としされ、積み立てられるので、確実に積立が可能です。また、積立は5,000円からスタートできますので、お手軽に始めていただくことが可能です。

学資保険や積立投資信託など金融商品の活用

学資保険や積立投資信託などの金融商品も、これまでに紹介した先取り貯金と同様の効果があります。その特性に応じて、自身の世帯ではどれがよいか検討してみましょう。

学資保険

学資保険は、生命保険の中でも子供の将来の教育資金対策に特化した貯蓄性の高い商品です。毎月の保険料として決まった期日に決まった金額を納付するため、計画的な積立であるといえます。

また、学資保険の仕組みとして満期時期にまとまった資金が受け取れます。この基本となる仕組みに、節目のお祝い金がもらえる特約や、子供の医療特約などを付加できます。

さらに、学資保険のメリットとして契約者(親)払込免除特約があります。こちらは、学資保険の契約者である親が死亡または高度障害状態になった場合、以降の保険料は免除される特約です。その後の学資保険は保険期間中継続されるため、満期金も満額受け取れます。

積立投資信託

前述した積立預金などの預金商品を活用した場合、確実に貯蓄することができる一方、金利が低いため、お金が増えにくいという面もあるでしょう。少しでもお金を増やしたいという方には、積立投資信託の活用もおすすめです。

北陸銀行の積立投資信託は、毎月5,000円(インターネットでつみたてNISAをご利用の場合は毎月1,000円)から可能です。投資信託は元本割れのリスクを伴う点は注意が必要ですが、選択する商品によっては、元本を上回る成果が期待できることもあります。

これまでに投資の経験がない場合や、やってみたいけど不安があるという方は、お気軽に北陸銀行の窓口までおたずねください。

教育資金積立は計画的に

子供の成長では、段階に応じて備えておくべき金額が異なります。そこで、当面の目標として大学入学前までに400万円を目安にしましょう。

400万円を積み立てる方法は、子供名義の口座の活用や公的支援制度のあるうちに貯金を進める方法などがあります。当記事で紹介した定期預金や学資保険、積立投資信託などの金融商品も活用しながら、確実に資金を貯めていきましょう。


  • [注1]「平成30年度子供の学習費調査」(文部科学省)https://www.mext.go.jp/content/20191212-mxt_chousa01-000003123_01.pdf
  • [注2]「令和3年度教育費負担の実態調査」(日本政策金融公庫)https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kyouikuhi_chousa_k_r03.pdf

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◎著者

大野 翠(おおの みどり)

芙蓉宅建FPオフィス代表

金融業界歴12年目(2022年時点)。お金と不動産の専門家。生命保険、損害保険、各種金融商品の販売を一切行わない「完全独立系FP」として、プロの立場から公平かつ根拠のしっかりしたコンサルティングを行っています。一般消費者の金融に関する苦手意識を払拭すべく、ライフワークとして「超・初心者向けマネー勉強会」を毎月テーマを変えて開催しています。