北陸銀行

老後へのそなえ

2021年00月00日

生涯年収の平均はどれくらい?将来への備えはどれくらい必要なの?

人が一生涯のあいだに手にするお金のことを「生涯年収」と呼びます。それに対して、人が一生涯のあいだに支払うお金の総額が「生涯支出」です。実は、さまざまな統計データから、平均生涯年収が年々減っていることがわかっています。その一方で、平均寿命が延びた結果、生涯支出の金額はこれからどんどん膨らんでいきます。今、生涯年収と生涯支出の金額には、どのくらいのギャップがあるのでしょうか。また、将来の備えはどのくらい必要なのでしょうか。この記事では、生涯年収の平均や、生涯支出とのギャップについて、統計データを紐解きながら解説していきます。

平均生涯年収はどれくらいあるの?

生涯年収の目安はどれくらいなのでしょうか。ここでは、労働政策研究・研修機構の「ユースフル労働統計 2024」のデータに基づき、学歴別・企業規模別に平均生涯年収を見ていきます。

学歴別に見ると、平均生涯年収が高いのは「大学卒」

まず、2023年の平均生涯年収を学歴別に見ていきましょう。なお、この統計データは「同じ企業で、60 歳で退職するまでフルタイムの正社員で勤め続けた場合の生涯年収(退職金や年金は含めない)」を想定しています。[注1]

男性 女性
学歴 高校卒 約2.49億円 約1.86億円
高専・短大卒 約2.66億円 約2.01億円
大学卒 約2.80億円 約2.30億円
男性 女性
学歴 高校卒 約2.49億円 約1.86億円
高専・短大卒 約2.66億円 約2.01億円
大学卒 約2.80億円 約2.30億円

男性・女性ともに、平均生涯年収は大学卒の場合が最も高い傾向にあります。それぞれ、男性の平均生涯年収は約2.80億円、女性は約2.30億円に達しています。

企業規模別に見ると、平均生涯年収が高いのは「1,000人以上」

次に、企業規模別の平均生涯年収を見ていきましょう。企業規模ごとの母集団をさらに学歴別に分け、学歴との相関関係も見ていきます。

男性 企業規模
10~99人 100~999人 1,000人以上
学歴 高校卒 約2.12億円 約2.35億円 約2.73億円
高専・短大卒 約2.19億円 約2.41億円 約2.95億円
大学卒 約2.25億円 約2.54億円 約3.11億円
男性 企業規模
10~99人 100~999人 1,000人以上
学歴 高校卒 約2.12億円 約2.35億円 約2.73億円
高専・短大卒 約2.19億円 約2.41億円 約2.95億円
大学卒 約2.25億円 約2.54億円 約3.11億円

女性 企業規模
10~99人 100~999人 1,000人以上
学歴 高校卒 約1.60億円 約1.78億円 約2.10億円
高専・短大卒 約1.86億円 約1.95億円 約2.18億円
大学卒 約1.87億円 約2.13億円 約2.51億円
女性 企業規模
10~99人 100~999人 1,000人以上
学歴 高校卒 約1.60億円 約1.78億円 約2.10億円
高専・短大卒 約1.86億円 約1.95億円 約2.18億円
大学卒 約1.87億円 約2.13億円 約2.51億円

男性・女性ともに、企業規模が大きくなるほど平均生涯年収も上がります。また、企業規模ごとの母集団を学歴で分けると、学歴の高さと生涯年収の金額にも相関関係があります。もっとも平均生涯年収が高くなるのが、企業規模が「1,000人以上」かつ、学歴が「大学卒」の母集団であり、男性の平均生涯年収は約3.11億円、女性は約2.51億円に達しています。

生涯年収は上がっている?下がっている?

さて、生涯年収は上がっているのでしょうか、それとも下がっているのでしょうか。1995年~2023年の平均生涯年収の推移を見てみましょう。条件は先ほどと同様に、60歳まで同一企業に勤めたケースを想定します。

男性 年度
1995年 2000年 2005年 2010年 2015年 2020年 2023年

高校卒 約2.84億円 約2.76億円 約2.59億円 約2.44億円 約2.53億円 約2.41億円 約2.49億円
高専・
短大卒
約2.83億円 約2.80億円 約2.63億円 約2.39億円 約2.52億円 約2.59億円 約2.66億円
大学卒 約3.20億円 約3.05億円 約2.94億円 約2.76億円 約2.89億円 約2.73億円 約2.80億円
男性 年度
1995年 2000年 2005年 2010年 2015年 2020年 2023年

高校卒 約2.84億円 約2.76億円 約2.59億円 約2.44億円 約2.53億円 約2.41億円 約2.49億円
高専・
短大卒
約2.83億円 約2.80億円 約2.63億円 約2.39億円 約2.52億円 約2.59億円 約2.66億円
大学卒 約3.20億円 約3.05億円 約2.94億円 約2.76億円 約2.89億円 約2.73億円 約2.80億円

女性 年度
1995年 2000年 2005年 2010年 2015年 2020年 2023年

高校卒 約2.07億円 約2.05億円 約1.89億円 約1.80億円 約1.87億円 約1.80億円 約1.86億円
高専・
短大卒
約2.31億円 約2.34億円 約2.15億円 約2.04億円 約2.06億円 約1.96億円 約2.01億円
大学卒 約2.72億円 約2.75億円 約2.55億円 約2.39億円 約2.42億円 約2.32億円 約2.30億円
女性 年度
1995年 2000年 2005年 2010年 2015年 2020年 2023年

高校卒 約2.07億円 約2.05億円 約1.89億円 約1.80億円 約1.87億円 約1.80億円 約1.86億円
高専・
短大卒
約2.31億円 約2.34億円 約2.15億円 約2.04億円 約2.06億円 約1.96億円 約2.01億円
大学卒 約2.72億円 約2.75億円 約2.55億円 約2.39億円 約2.42億円 約2.32億円 約2.30億円

1995年から2023年までの生涯年収の推移を見ると、全体を通して減少傾向にあります。もっとも平均生涯年収が高いのが、約2.80億円(男性、大学卒)です。28年間でみれば平均生涯年収は減少傾向にあり、これから期待できる賃金総額についてもあまり楽観的な見通しはできません。

生涯支出はもちろん年々上がっている

生涯年収減少傾向にあるなかで、平均寿命は年々延びてきているので、生涯支出は年々上がっていると考えられます。厚生労働省の「令和6年簡易生命表の概況」によると、2024年の時点で、男性の平均寿命は81.09年、女性の平均寿命は87.13年です。 [注2]平均寿命が延び、ライフステージが長くなるにつれて、これからの生涯支出もどんどん上昇します。

それでは、2人以上の勤労者世帯を想定した場合、生涯支出の目安はどのくらいなのでしょうか。まず、総務省統計局の家計調査年報(家計収支編)(2024年)を見ると、勤労者世帯の年間の消費支出は約390万円です。さらに税金や社会保険料を加えると、1年あたり約526万円の支出です。23歳から65歳(定年)まで働いたと仮定すると、43年間で支出の総額は約2.3億円に達します。
また、高齢夫婦無職世帯の消費支出の平均は、1年あたり約308万円です。非消費支出とあわせると、65歳から平均寿命に近い85歳までのあいだに、合計で約6,885万円のお金が出ていきます。

それでは、食料費や住居費など、生涯支出の内訳を見てみましょう。

単身世帯の生活費とその内訳
23~65歳
までの生活費
65~85歳
までの生活費
生涯支出
消費支出 食料 約4,538万円 約1,832万円 約6,370万円
住居 約983万円 約394万円 約1,377万円
光熱・水道 約1,174万円 約526万円 約1,700万円
家具・家事用品 約679万円 約294万円 約973万円
被服及び履物 約598万円 約134万円 約732万円
保険医療 約713万円 約441万円 約1,154万円
交通・通信 約2,581万円 約666万円 約3,247万円
教育 約952万円 - 約952万円
教養娯楽 約1,633万円 約609万円 約2,242万円
その他の消費支出 約2,925万円 約1,258万円 約4,183万円
非消費支出 約5,861万円 約729万円 約6,590万円
合計 約2億2,638万円 約6,885万円 約2億9,523万円
単身世帯の生活費とその内訳
23~65歳
までの生活費
65~85歳
までの生活費
生涯支出
消費支出 食料 約4,538万円 約1,832万円 約6,370万円
住居 約983万円 約394万円 約1,377万円
光熱・水道 約1,174万円 約526万円 約1,700万円
家具・家事用品 約679万円 約294万円 約973万円
被服及び履物 約598万円 約134万円 約732万円
保険医療 約713万円 約441万円 約1,154万円
交通・通信 約2,581万円 約666万円 約3,247万円
教育 約952万円 - 約952万円
教養娯楽 約1,633万円 約609万円 約2,242万円
その他の消費支出 約2,925万円 約1,258万円 約4,183万円
非消費支出 約5,861万円 約729万円 約6,590万円
合計 約2億2,638万円 約6,885万円 約2億9,523万円

※総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2024年(令和6年)」のデータを加工し北陸銀行が作成

上記の試算では、生涯支出の大まかな目安は約2.95億円です。
それに対し、高校卒の男性の生涯年収は約2.49億円で、高専・短大卒の男性の生涯収入は約2.66億円です。また、女性の場合は、大学卒であっても生涯年収は約2.30億円と、生涯支出の約2.95億円に届いていません。さらに、平均寿命の上昇にともない、これから男女ともに生涯支出は増えていくと予想されています。このように、生涯支出と生涯年収にはギャップが生じてしまっているのです。

将来に向けての備えは?早い段階から資産運用を

では、生涯年収と生涯支出のギャップを解消するためには、どうするのがよいでしょうか。「人生100年時代」といわれる今、これまでとは違うライフプランの立て方が必要です。早い段階から資産運用に取り組み、平均寿命の延びに対応し「資産寿命」を延ばし、生涯年収と生涯支出のギャップを埋めることが大切です。

資産運用には、たとえば次のような方法があります。

  • 積立投資信託をはじめる
  • 個人年金を利用する
  • 個人型確定拠出年金(iDeCo)を利用する

資産運用のなかには、働いているうちから取り組めるものもたくさんあります。早い段階から資産運用の計画を立て、将来の生活に備えましょう。また、資産運用にはリスクも伴いますので、無理のない範囲で行うことも大切です。

生涯年収と生涯支出のギャップを知り、将来の生活に備えよう

男性・女性ともに、平均生涯年収は学歴が高くなるほど上昇します。また、平均生涯年収は企業規模とも相関関係があり、もっとも水準が高いのは従業員1,000人以上の企業に勤める正社員です。もっとも年収が高い母集団(男性、企業規模1000人以上、大学卒)を想定した場合、平均生涯年収は約3.11億円ですが、それ以下の規模の会社では生涯支出の大まかな目安である約2.95億円には届きません。平均寿命が延び、これからますます生涯支出が増えていくなかで、生涯年収と生涯支出のギャップを解消する努力が求められます。早い段階から資産運用の計画を立てるなど、できることから始めて将来に備えましょう。

北陸銀行の資産運用商品
ラインナップ

  • [注1] 独立行政法人 労働政策研究・研修機構:ユースフル労働統計 2024 https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/kako/2024/
  • [注2] 厚生労働省:令和6年簡易生命表の概況 https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/life/life24/
  • [注3] 総務省統計局:家計調査年報(家計収支編)2024年(令和6年)https://www.stat.go.jp/data/kakei/2024np/