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教育

2021年00月00日

大学の学費平均はどのくらい?学校区分や学部別による年間総額を詳しくご紹介

将来、子どもの大学進学の場面ではなるべく費用面を気にせずに希望の大学へ送り出したいものです。そこで本記事では、国立や私立など学校区分別に平均的にかかる学費を紹介します。また、文系や理系など学部別の学費についてもまとめていますので、ぜひ参考に学費について検討してみましょう。

大学進学で発生する費用には何がある?

大学進学では授業料や入学金など、さまざまな名目の費用が必要となります。詳細は大学によって異なるため、本記事では一般的に発生する費用を解説していきます。この記事を参考に、大学進学の際にかかる費用を理解しておきましょう。

大学入学のための受験料

大学進学で発生する費用として、初めにかかるのは受験料です。国立大学は受験料の標準額が文部科学省令で定められており、17,000円となっています。[注1]

一方、私立大学は大学ごとに受験料の設定ができるため、受験料は大学によって異なります。

複数の大学を受験する場合は費用面も確認

第一志望の大学以外に、万が一に備えて他の大学も受験することも多いでしょう。もちろん、その場合でも大学ごとに受験料が必要となります。遠方の大学を受験する場合は旅費も必要となるため、受験する前に費用面をしっかりと確認しておきましょう。

また、第一志望の合否が判明する前に、他の大学から合格通知がきた場合も注意が必要です。大学に合格した際は、大学所定の期間内に入学金の一部を先に振り込む場合があります。このような点も考慮して、費用には余裕をもって受験すると安心でしょう。

入学時に発生する初年度納付金

初年度納付金とは、大学に入学手続きをした際に支払う費用です。初年度のみ支払う納付金となっており、この費用は入学金と1年目の授業料などが合算されています。

そのため、初年度納付金は大学在学期間中に支払う費用の中で最も高額になります。国立大学の入学金は標準額が設定されていますが、私立大学は学校ごとに設定されているため事前に確認しておきましょう。

また、初年度納付金には教科書などの教材費が含まれていないためこの点にも注意が必要です。入学後に継続して使う参考書や関連書籍に関しても、入学時にまとめて購入する場合が多くなっています。2年目以降も教材費は発生しますが、1年目の教材費は特に高額となる傾向にあるため注意が必要です。

卒業まで毎年発生する授業料

授業料は、在学期間中であれば毎年発生します。国立大学は標準額が定められており、私立大学は大学や学部ごとに授業料が異なりますので理解しておきましょう。

同じ学部であっても、大学が違うと授業料が違うこともあります。進学する大学を選ぶ際は、大学のWebサイトや資料などで公開されている授業料を目安にしておくと、資金計画の上で安心です。

私立大学では毎年施設設備費も必要

主に私立大学で発生する費用として、施設設備費があります。なお、施設設備費は大学の設備の拡充や維持保安のために必要な費用で、国立大学では原則施設設備費はかかりません。

学費や諸費用はいつ払う?

入学が決まってから最初に支払う費用は、初年度納付金です。初年度納付金は、大学への入学手続き後、入学前までに支払う必要があります。大学入試の際は、共通テストを経て合格した後に納付する流れが多いですが、推薦入試やAO入試の場合は注意が必要です。

これらの入試では受験および合格判定の時期が前倒しになるため、11月前後に入学金などを払う場合があります。大学の入学費用として準備していた学資保険や、養老保険などの金融商品を保有している方は、満期時期や受取時期がいつになっているのかを確認しておきましょう。

また、授業料は通常前期と後期の半年分ずつを支払います。学部によって必要となる実習費や研修費などは、在学期間中その都度支払うことになります。

国公立大学の学費平均

ここからは国立大学と公立大学にわけて、平均的な入学費用と在学費用について解説します。

国立大学の入学・在学費用

国立大学の学費は、文部科学省令によって標準額が定められています。なお、国立大学では学部による学費の差がありません。

国立大学・学費

  • 入学金:282,000円
  • 1年間の授業料:535,800円

この金額を基に計算すると、4年間在籍した場合の総額は約243万円、医学部など6年間在籍した場合は約350万円の学費が必要となります。[注1]

公立大学の入学・在学費用

公立大学とは、都道府県や市町村単位で運営している大学です。公立大学の学費は、国立大学の学費と同程度となります。

また、公立大学で特徴的な点は、大学が所在する都道府県等に居住している学生は学費の優遇制度を受けられることです。文部科学省「国公立私立大学の授業料等の推移」を参考にすると、公立大学の学費は次の金額です。

公立大学・学費

  • 入学金:391,305円
  • 1年間の授業料:536,363円

この金額を基に計算すると、公立大学に4年間在学した場合の総額は約254万円、6年間在学した場合は約361万円の学費が必要となります。[注2]

この総額は、公立大学の所在地に居住している学生を対象とした優遇制度を考慮しない数字です。そのため、住んでいる地域の公立大学に進学する場合は、基本的にこの総額よりも少ない金額で進学・在学が可能です。

私立大学の学費平均

私立大学は大学ごとに入学金や授業料が異なります。そのため、ここからは私立大学の目安となる平均費用を紹介します。[注3]

学部 入学料 施設設備費
(在学期間の総額)
1年間の授業料
(在学期間の総額)
学費総額
文科系学部 225,651円 148,272円
(593,088円)
815,069円
(3,260,276円)
4,079,015円
理科系学部 251,029円 179,159円
(716,636円)
1,136,074円
(4,544,296円)
5,511,961円
医歯系学部
(6年間)
1,076,278円 931,367円
(5,588,202円)
2,882,894円
(17,297,364円)
23,961,844円
その他学部 254,836円 235,702円
(942,808円)
969,074円
(3,876,296円)
5,073,940円
学部 入学料 施設設備費
(在学期間の総額)
1年間の授業料
(在学期間の総額)
学費総額
文科系学部 225,651円 148,272円
(593,088円)
815,069円
(3,260,276円)
4,079,015円
理科系学部 251,029円 179,159円
(716,636円)
1,136,074円
(4,544,296円)
5,511,961円
医歯系学部
(6年間)
1,076,278円 931,367円
(5,588,202円)
2,882,894円
(17,297,364円)
23,961,844円
その他学部 254,836円 235,702円
(942,808円)
969,074円
(3,876,296円)
5,073,940円

※その他学部とは、芸術学部や保健学部などが含まれます。

私立大学と国立大学の学費の大きな違いは「施設設備費」の有無

私立大学に在学している期間、毎年施設設備費の納入が必要です。施設設備費とは私立大学が独自に設定できる費用で、学校施設の維持管理や拡充を目的としています。施設設備費は、原則として国立大学では必要ありません。一部の国立大学では納入が必要な場合もありますが、その場合でも私立大学の施設設備費より金額は抑えられています。

医歯系学部の学費について

一般的に医歯系学部は、他の学部よりも費用がかかります。国立大学の場合は学部による学費の差がないため、6年間在籍した場合の総額は約350万円です。しかし、私立大学の場合は学費が約2,396万円かかるため、国立大学と約2,000万円程度の差が生じます。このほか、医歯系学部では実習費なども別途かかるため、特に私立大学の医歯系学部では在籍費用が高額になる傾向があります。

学費以外に発生する費用もある

大学進学にかかる費用は学費だけではありません。他県の大学へ進学した場合の費用や、大学院へ進学する場合などあらゆる場面を想定して備えておきましょう。

ひとり暮らしの場合は生活費負担も

日本学生支援機構「令和2年度学生生活調査」のうち「居住形態別の学生生活費」では、自宅通学とアパート等での通学(ひとり暮らし)に分けて紹介されています。なお、この調査による学生生活費とは、学費と生活費をあわせた金額のことです。同調査では、大学昼間部の学生生活費は、次のように示されています。[注4]

区分 自宅 アパート等
国立大学 987,100円 1,721,800円
公立大学 993,000円 1,689,000円
私立大学 1,704,800円 2,414,300円
平均 1,601,500円 2,151,000円
親世帯とは別に子のひとり暮らし費用負担が発生する

同調査結果から、私立大学へ通学しているひとり暮らしの学生がもっとも学生生活費が高額であることがわかりました。自宅外通学で私立大学へ通わせる場合、授業料等と生活費をあわせて年間約241万円かかり、もっとも負担の少ない公立大学と70万円ほどの違いがあります。さらに、自宅通学と自宅外通学の場合を比較した場合、年間70万前後の差があります。

自宅外通学でひとり暮らしをする場合には、親世帯の生活費とは別にこどもの生活費も発生するということです。つまり、二つの世帯分を親が負担する状態です。そのため、入学金や学費への備えだけでなく、生活費全般の出費も想定して早めに資金計画を立てることをおすすめします。

毎日の交通費や食費も必要

大学進学の費用を考える際は、大きな金額だけに注目しがちです。しかし、日常的に発生する少額な費用でも、積み重なれば大きな金額になります。その代表例として、日々の交通費や食費があげられます。

毎日の昼食代が500円・交通費が300円の場合、1か月(22日)の合計費用は17,600円です。さらに、1年間この出費が継続すると仮定した場合、年間で約21万円かかります。そのため、日常的に発生する費用も事前に把握しておくと安心です。

オンライン授業に対応する費用もかかる

新型コロナウイルス感染症の影響で、オンライン授業の機会もあるでしょう。自宅や借りているアパートにインターネット環境がない場合、別途費用をかけて環境整備をすることになります。

近年の大学生活では、パソコンやインターネット環境は必需品になりつつあります。そのため、通学する大学の学生割引購入を利用するなど、工夫をしながら用意しましょう。

平均総額を目安に資金計画を立てよう

ここからは、統計データを基に大学入学にかかる平均費用について解説します。子どもの年齢的に将来の進路が全く不明な場合でも、ここから紹介する平均費用を目安として早めに資金計画を立てておきましょう。

教育費はどうやって捻出する?

日本政策金融公庫の調査では、教育費の捻出方法も紹介しています。具体的には、「教育費以外の支出を削減」「学生本人にアルバイトをしてもらう」「奨学金の利用」「預貯金や保険の取り崩し」などがあげられています。

この結果を見ると、教育費の捻出方法として「支出を減らして収入を増やす」という工夫をしている世帯が多いことがわかります。さらに、具体的にどの支出を節約しているかも公表しており、主な節約費用としてはレジャー費や外食費、衣類の購入費など、主に娯楽費用が中心となっていることがわかります。[注5]

奨学金の活用

また教育費の捻出方法に関する調査結果では、奨学金を活用しているという回答も多くなっています。多くの奨学金制度が存在していますが、日本学生機構が実施している奨学金が有名です。

主に私立大学では、大学独自の奨学金制度を設けていることがあります。また、ほとんどの都道府県や自治体・民間の育英団体でも、独自の奨学金制度が設置されています。

奨学金には貸与型と給付型で2つの種類があり、それぞれ違いがあります。

貸与型は貸し付けを行うもので将来的には返済する必要がある奨学金です。一方、給付型は返済義務がありません。しかし、給付型の奨学金を受けるためには、成績要件など所定の基準を満たすこと等高い条件が設定されていることがあります。

資産運用や学資ローンの活用

奨学金以外にも学費を用意する方法があり、それらを活用することも十分に考えられます。その代表的な例となるのが資産の運用と学資ローンの活用です。

その中でも学資ローンは必要な分だけ借入ができ、在学中の返済に関しては一定の猶予が設けられていることも多いため安心です。

北陸銀行の学資ローンのカードローンタイプは、返済期間が最大15年まで1か月単位で設定でき、自身のライフプランに合わせて返済時期を考えられるのもメリットのひとつとなっています。

実際に学資ローンを検討する際には、北陸銀行Webサイト内のローンシミュレーションを活用するとイメージもつきやすくなりますので活用してみましょう 。

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大学進学に関する費用用意は計画的に

大学へ進学する場合、学費や授業料などが必ず発生します。進学する大学が国公立か私立かによっても学費に大きな差が出るため、事前にしっかりと確認しておきましょう。また、自宅外通学の生活費やオンライン環境の整備など学費以外にもさまざまな出費が続きます。

これらに備えるためには、早めの資金計画が大切です。資産運用や学資ローンなどをうまく活用し、教育費の捻出がなるべく家計支出の負担にならないよう進めていきましょう。


  • [注1] 「国立大学等の授業料その他の費用に関する省令」(文部科学省)(https://www.mext.go.jp/component/a_menu/education/detail/__icsFiles/afieldfile/2015/06/05/1235474_012.pdf)
  • [注2] 「国立大学と私立大学の授業料等の推移」(文部科学省)(https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kokuritu/005/gijiroku/attach/1386502.htm)
  • [注3] 「令和3年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金 平均額(定員1人当たり)の調査結果について」(文部科学省)(https://www.mext.go.jp/content/20211224-mxt_sigakujo-000019681_1.pdf)
  • [注4] 「令和2年度・学生生活調査結果」(日本学生支援機構)(https://www.jasso.go.jp/statistics/gakusei_chosa/__icsFiles/afieldfile/2022/03/16/data20_all.pdf)
  • [注5] 「教育費負担の実態調査結果(2021年12月発表)」(日本政策金融公庫)(https://www.jfc.go.jp/n/findings/pdf/kyouikuhi_chousa_k_r03.pdf)

◎著者

大野 翠(おおの みどり)

芙蓉宅建FPオフィス代表

金融業界歴12年目(2022年時点)。お金と不動産の専門家。生命保険、損害保険、各種金融商品の販売を一切行わない「完全独立系FP」として、プロの立場から公平かつ根拠のしっかりしたコンサルティングを行っています。一般消費者の金融に関する苦手意識を払拭すべく、ライフワークとして「超・初心者向けマネー勉強会」を毎月テーマを変えて開催しています。