1. はじめに
2026年4月20日、中国の生産自動化分野をリードする深圳市匯川技術股份有限公司(INOVANCE、以下「匯川技術」)が大連金普新区で「研究開発製造基地」の着工式を行いました。この投資活動を記念して同日午後には、大連金普新区の主催により、匯川技術董事長による講演会が大連開発区大劇院で開催され、大連市および金普新区の政府関係者や企業代表など約1,000名が参加しました。
今回は、匯川技術の大連投資についてご紹介します。
2. 匯川技術が手掛ける大連研究開発製造基地
(1)匯川技術の会社概要
匯川技術は2003年に設立され、2010年に深圳証券取引所へ上場した企業です。生産自動化、新エネルギー車向け電気駆動装置、工場DX化、その他コア部品などの分野で事業を展開しています。
2025年の営業収入は451億人民元に達し、そのうち生産自動化とデジタル化業務が222億4,500万人民元を占めました(49.3%)。現在、中国国内の複数都市に加えハンガリーにも工場があります。世界30カ国以上にサービス拠点を展開し、従業員は2万人を超えています。
(2)匯川技術大連基地(生産拠点)の概要
匯川技術大連基地では、主に30~3000kWの高出力スマート永久磁石モータと制御システムの研究開発・生産を行います。総投資額は20億人民元、敷地面積は17万4,500㎡で、2027年末の全面稼働を予定しています。将来的には、年間1万台セットの生産能力を目指し、年間生産額50億人民元が見込まれています。
3. 匯川技術が大連を選んだ理由
匯川技術が大連に進出した背景には、主に次のような理由があります。
(1)消費地に近く、物流面で有利
東北地域には、鞍山鋼鉄、宝武、中炭、港湾グループなど、高精度モータの需要が大きい大手取引先が多くあります。需要地に近い場所で生産することで、物流コストを抑えながら取引先に迅速に製品を提供することができます。
(2)産業基盤と港湾機能が充実
大連は、重工業や港湾機械などの製造経験が豊富で、ものづくりの基盤がしっかりしています。また、大連港を活用することで、製品を日本、韓国、ロシアなど海外市場に輸出しやすい立地にあります。
(3)金普新区の政策支援
「東北振興(=旧重工業基地のモデルチェンジ)」という国家戦略のもと、金普新区では税制、土地、産業支援などの優遇政策が用意されています。こうした支援も、大連進出を後押しする要因となりました。
4. 大連および東北工業への効果
(1)高精度モータ分野の産業空白を補完、産業チェーンの完結
大連では元々、高精度モータのコア部品が不足していたため、今回の工場建設によって、長年の高精度モータの産業空白を埋められると期待されています。
また、匯川技術のサプライヤーは2,000社を超えています。匯川大連基地の建設を契機に、磁性材料、チップ、センサー、精密加工、工業ソフトウェア、スマート装備関連企業の大連および遼南地区への誘致が進み、大連で「スマートモーター自動化制御-装備製造」の産業チェーンが形成されていくものと予想されます。
(2)地元人材の雇用と育成
大連には、大連理工大学、大連交通大学、大連海事大学、東軟情報学院など、機械・電気、自動化、材料分野に強い大学が多く、工業系人材が豊富です。匯川技術大連基地は、研究開発、アルゴリズム、電気、技術、デジタル化関連の部署で1,500以上の雇用を創出することで、地元大学生の就職機会を広げています。地元エンジニアや技術者を育成し、東北地域の高度製造人材の流出抑制に寄与すると見込まれています。
5. おわりに
匯川技術の大連投資は、中国南方で培われた先進技術やノウハウを東北地域に導入する取り組みとして注目されています。今回の基地建設は、ハイエンド装備に関する「南方の先進技術+北方の製造基盤+北方の工業シーン応用」の南北協同(南北優位性の相互補完)の東北事例であり、東北振興につながることが期待されます。
<ご注意>
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